介護事業お役立ちコラム

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の独立ガイド

【平成30年(2018年)介護保険法改正版】グループホームの加算算定要件にはどんな種類がある?

[※この記事内容は、2017年2月28日時点の情報を元に作成した記事を、2018年7月11日時点の情報を追記・更新を加えたものです。]

関連記事:【令和3年(2021年)介護保険法改正版】グループホームの加算算定要件にはどんな種類がある?

認知症対応型共同生活介護(以下「グループホーム」)の介護報酬には、入居者の介護度に応じて支払われる基本報酬と、サービスの提供体制や利用者の状況等に応じて加算される報酬があります。
加算の種類及びその要件は多岐に渡るため、漏れなく算定できるよう内容をよく把握することが重要です。ここでは、グループホームで算定できる短期利用以外の加算要件について説明します。

グループホームで算定できる加算の種類と要件

夜間支援体制加算

1ユニットの場合 (Ⅰ)50単位/日
2ユニットの場合 (Ⅱ)25単位/日

夜間における入居者の安全確保等を目的とし、夜間・深夜帯に基準以上の介護従事者または宿直者を配置した場合に算定できるもの。全ての営業日(開所日)において、夜間・深夜帯の人員体制が基準を上回っている必要があります。1ユニットのグループホームでは2名以上、2ユニットでは、事業所を構成するユニットの数に1を加えた数以上、夜勤者を追加配置(2ユニットの場合3名)すると算定可能です。

若年性認知症利用者受入加算

若年性認知症利用者受入加算 120単位/日

40歳以上65歳未満の若年性認知症のケースを受け入れた場合に加算されるもの。受け入れたケースごとに個別の担当者(資格等の要件は問わない)を定め、本人及び家族のニーズに応じたサービスが提供されていることが算定の要件となります。

初期加算

初期加算 30単位/日(入居した日から30日以内)

入居直後は、環境の変化によって症状が落ち着かなくなることが多く、より手厚い介護が必要になる、あるいは支援計画の策定に時間を要すといった理由から算定が認められています。
また、2018年度(平成30年度)介護報酬改定で、医療機関に1カ月以上入院した後、退院して再入居する場合も初期加算の算定が認められるようになりました。

看取り介護加算

死亡日以前4日以上30日以下 144単位/日
死亡日の前日及び前々日 680単位/日
死亡日 1280単位/日

入居者本人及び家族の意向を尊重しつつ看取りの体制を構築し、看取りに向けた手厚い介護の実施を図ることを目的に導入された加算。医師が医学的見地に基づき「回復の見込みがない」と診断した入居者に限り算定が可能となります。また、算定にあたっては PDCAサイクル を推進することを要件とし、本人または家族の同意及び他職種(医師・看護師・介護職員等)協力のもと、利用者にかかる介護計画を作成する必要があります。なお、短期利用共同生活介護費を算定している場合は、算定できません。

認知症専門ケア加算

認知症専門ケア加算(Ⅰ) 3単位
認知症専門ケア加算(Ⅱ) 4単位

認知症介護について、国や自治体が実施する専門研修を修了した者が一定数勤務する事業所において算定されるもの。認知症専門ケア加算には、1日につき3単位加算できるものと、4単位加算できるものの2種類があります。
3単位の加算要件としては、グループホームにおいて認知症高齢者の日常生活自立度ランクⅢ以上のケースが入居者総数の半数以上、かつ、認知症介護にかかる専門研修を修了した者が対象者20人につき1人以上(20人未満の場合は1人、20人を超える場合は19人を超えて10人またはその端数を増すごとに1人追加)配置し多職種が共同で介護を実施していることが挙げられています。
一方、4単位の加算要件としては、3単位加算の要件に加え、認知症介護の教育指導に係る専門的な研修を修了した者が、事業所全体の認知症介護の指導等を実施していることが要件となっています。なお、いずれの加算を算定する場合においても認知症介護に関する留意事項や技術的な指導を伝達する会議・研修等を定期的に開催している必要があります。

サービス提供体制強化加算

サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イ 18単位
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロ 12単位
サービス提供体制強化加算(Ⅱ) 6単位
サービス提供体制強化加算(Ⅲ) 6単位

介護福祉士の資格を持つ者、常勤者または勤続年数3年以上の者が一定の割合で雇用されているグループホームにおいて算定できます。このうち、サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イの算定要件は、全従業員のうち介護福祉士の資格を有する者の割合が60%以上。50%以上で(Ⅰ)ロの算定ができます。サービス提供体制強化加算(Ⅱ) の算定要件は、全従業員のうち常勤者が75%以上配置されていること。全従業員のうち3年以上の勤続年数のある従業員が30%以上配置されて居る場合に算定ができます。

医療連携体制加算

医療連携体制加算(Ⅰ) 39単位/日
医療連携体制加算(Ⅱ) 49単位/日
医療連携体制加算(Ⅲ) 59単位/日
(※医療連携体制加算(Ⅱ)、(Ⅲ)は2018年度(平成30年度)介護報酬改定で新設)

医療連携体制加算(Ⅰ)はグループホーム従業員または他医療機関、訪問看護ステーションに在籍する看護師と連携し、24時間連絡体2018年度(平成30年度)介護報酬改定で新設。制を確保している場合に加算されるものです。入居者の状態が急変あるいは重度化した場合の対応指針を別途定め、その内容を入居者及び家族に説明し同意が得られていることが算定要件となります。なお、この加算における看護師とは、国家資格を取得した正看護師を指し、准看護師は認められていません。
医療連携体制加算(Ⅱ)は事業所の職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置していること。事業所の職員として配置している看護職員が准看護師のみである場合には、病院、若しくは訪問看護ステーションの看護師との連携体制を確保することが算定要件となります。医療連携体制加算(Ⅲ)は事業所の職員として「看護師」を常勤換算で1名以上配置していることが算定要件となります。
また、加算(Ⅱ)(Ⅲ)共通の要件として、算定日が属する月の前12月間において、喀痰吸引や、経鼻胃管や胃瘻(ろう)等の経腸栄養といった医療的ケアを提供している実績も求められます。

入居者の入退院支援の取組

入院時費用 246単位/日(1月につき6日を限度)
(※2018年度(平成30年度)介護報酬改定で新設)

入院後3カ月以内に退院が見込まれる入居者について、退院後の再入居の受け入れ体制を整えている場合には、1月に6日を限度として一定単位の基本報酬が算定できます

退居時相談援助加算

400単位/回(1人につき1回を限度)

入居期間1カ月以上の利用者が退去後、居宅サービスまたは地域密着型サービスを利用するとなった際、本人及び家族に対し退去後の生活について相談に応じた場合に、利用者1人につき1回を限度として加算されるもの。退去日から2週間以内に、関係する 地域包括支援センター 等に対し、入居者の介護状況など必要な情報を提供する必要があります。

生活機能向上連携加算

生活機能向上連携加算 200単位/月
(※2018年度(平成30年度)介護報酬改定で新設)

訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションを実施している事業所、またはリハビリテーションを実施している医療提供施設(病床数200床未満)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、医師が、認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)を訪問し、計画作成担当者と身体状況等の評価(生活機能アセスメント)を共同して行うこと。
計画作成担当者が生活機能の向上を目的とした認知症対応型共同生活介護計画を作成することなどが算定要件となっています。

口腔衛生管理体制加算

口腔衛生管理体制加算 30単位/月
(※2018年度(平成30年度)介護報酬改定で新設)

歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に口腔ケアに係る技術的助言及び指導を月1回以上行っている場合に算定できます。

栄養スクリーニング加算

栄養スクリーニング加算 5単位/回(6月に1回を限度)
(※2018年度(平成30年度)介護報酬改定で新設)

サービス利用者に対し、利用開始時及び利用中6か月ごとに栄養状態について確認を行い、当該利用者の栄養状態に係る情報(医師・歯科医師・管理栄養士等への相談提言を含む。)を計画作成担当者に文書で共有した場合に算定できます。

介護職員処遇改善加算

2015年4月1日~2017年3月31日

介護職員処遇改善加算(Ⅰ) 1月につき +所定単位×83/1000
介護職員処遇改善加算(Ⅱ) 1月につき +所定単位×46/1000
介護職員処遇改善加算(Ⅲ) 1月につき +(Ⅱ)の90/100
介護職員処遇改善加算(Ⅳ) 1月につき +(Ⅱ)の80/100

介護職員の賃金改善に充てることを目的として導入された加算。介護職員の資質向上及び離職防止に向けた取り組みや労働環境の改善を図った事業所において算定できます。このうち、最も加算率の高い介護職員処遇改善加算(Ⅰ)を算定するには、キャリアパス要件 I(職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備)もしくはキャリアパス要件Ⅱ(資質向上に向けた計画策定・研修の実施または機会の提供)、職場環境等要件(賃金改善以外の処遇改善の実施)の2つを満たしている必要があります。介護職員処遇改善加算(Ⅱ)~介護職員処遇改善加算(Ⅳ)は、介護職員処遇改善加算(Ⅰ)の算定要件をどれだけ満たしているかによって区分が決まります。

なお、介護職員処遇改善加算は2017年度からは以下のように改定されます。

2017年4月1日~

介護職員処遇改善加算(Ⅰ) 1月につき +所定単位×111/1000
介護職員処遇改善加算(Ⅱ) 1月につき +所定単位×81/1000
介護職員処遇改善加算(Ⅲ) 1月につき +所定単位×45/1000
介護職員処遇改善加算(Ⅳ) 1月につき +(Ⅲ)の90/100
介護職員処遇改善加算(Ⅴ) 1月につき +(Ⅲ)の80/100

この改定は「昇給と結びついたキャリアアップの仕組みを構築すること」を目的としています。現行の加算要件のもとでは、介護職員の職位や職責、職務内容などに応じた賃金体系が用いられており、どのような場合に昇給するのかが必ずしも明確に定められていません。これを解決するため、介護職員処遇改善加算(Ⅰ)において、新たにキャリアパス要件Ⅲ(経験や資格等に応じた昇給制度、または一定の基準に基づいた昇給制度の設置)を定めて、事業所に勤続年数や取得資格、実技試験の結果などに応じた昇給の仕組みを設けることを要件としています。

介護職でのキャリアアップのための資格について知りたい方はこちらの記事がおすすめです。

2015年度の改定では、軒並みマイナス改定となった介護報酬。今後も厳しい状況が続くと見込まれる中、介護事業所においては、上記に挙げた加算を算定できるようサービス提供体制を整備することが急務となっています。一方で、介護職員の処遇改善についても業界全体の大きな課題とされています。より手厚い介護を徹底し、なおかつ従業員の資質向上や離職防止に努めた事業所ほど、加算を取りやすいと言えるでしょう。

こちらの記事を読むとよりグループホームの独立について詳しくなります

独立を検討するときに忘れちゃいけない介護ソフトについて

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。2018年の介護報酬改定では、多くの加算が新設されるとともに、身体拘束廃止未実施減算が導入されるなど、グループホームでの取り組みがよりきめ細かに評価されるようになりました。それに伴い、介護請求業務の負担が増えてしまうのでは?とお悩みのご担当者様はいらっしゃいませんか?
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