介護事業お役立ちコラム

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の独立ガイド

【令和3年(2021年)介護保険法改正版】グループホームの加算算定要件にはどんな種類がある?

認知症対応型共同生活介護(以下「グループホーム」)の介護報酬には、入居者の介護度に応じて支払われる基本報酬と、サービスの提供体制や利用者の状況等に応じて加算される報酬があります。令和3年(2021年)は3年ごとに見直しが行われている介護保険制度の改正の年にあたります。ここでは、認知症対応型共同生活介護(以下「グループホーム」)で算定できる短期利用以外の加算要件について、令和3年度に新設または変更になる加算を中心に確認してみましょう。

2021年度に新設または変更がある加算の種類と要件

新型コロナウイルス感染症への対応

新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として、令和3年9月30日までの間は、認知症対応型共同生活介護費(基本報酬)の0.1%に相当する単位数を上乗せします。

(新設)認知症対応型令和3年9月30日までの上乗せ分 所定単位数の1/1000

看取り介護加算

入居者本人及び家族の意向を尊重しつつ看取りの体制を構築し、看取りに向けた手厚い介護の実施を図ることを目的に導入された加算。これまでの死亡日以前30日前からの算定に加えて、死亡日以前45日前からの対応について新たに評価する区分が新設されます。

(新設)認知症対応型看取り介護加算1 死亡日以前31日~45日以下 72単位/日
(変更)認知症対応型看取り介護加算2 死亡日以前4日以上30日以下 144単位/日
(変更)認知症対応型看取り介護加算3 死亡日以前2日又は3日 680単位/日
(変更)認知症対応型看取り介護加算4 死亡日 1280単位/日

医師が医学的見地に基づき「回復の見込みがない」と診断した入居者に限り算定が可能となります。また、算定にあたっては PDCAサイクル を推進することを要件とし、本人または家族の同意及び他職種(医師・看護師・介護職員等)協力のもと、利用者にかかる介護計画を作成する必要があります。なお、短期利用共同生活介護費を算定している場合は、算定できません。

また、算定要件に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスにおけるガイドライン(※)」等の内容に沿った取組を行うことが加えられました。

※「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスにおけるガイドライン」は以下に掲載されています。
厚生労働省ホーム> 報道・広報> 報道発表資料> 2018年3月> 「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000197665.html

医療連携体制加算

医療ニーズのある入居者への対応を適切に評価し、医療ニーズのある者の積極的な受入れを促進する観点から、医療連携体制加算(Ⅱ)及び(Ⅲ)の医療的ケアが必要な者の受入実績要件について見直しが行われます。具体的には[医療的ケアが必要な者受入要件] の(3)~(9)が加えられます。

認知症対応型医療連携体制加算Ⅰ 39単位/日
認知症対応型医療連携体制加算Ⅱ 49単位/日
認知症対応型医療連携体制加算Ⅲ 59単位/日

算定要件
[看護体制要件]
医療連携体制加算Ⅰ:事業所の職員として、又は病院、診療所若しくは訪問看護ステーションとの連携により、看護師を1名以上確保していること。

医療連携体制加算Ⅱ:事業所の職員として看護職員を常勤換算で1名以上配置していること。

医療連携体制加算Ⅲ:事業所の職員として看護師を常勤換算で1名以上配置していること。

医療連携体制加算Ⅰ~Ⅲ:事業所の職員である看護師、又は病院、診療所若しくは訪問看護ステーションの看護師との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること

[医療的ケアが必要な者受入要件]
医療連携体制加算Ⅰ:なし

医療連携体制加算Ⅱ・Ⅲ:算定日が属する月の前12月間において、次のいずれかに該当する状態の入居者が1人以上であること。
(1)喀痰(かくたん)吸引を実施している状態
(2)経鼻胃管や胃瘻(ろう)等の経腸栄養が行われている状態
(3)呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態
(4)中心静脈注射を実施している状態
(5)人工腎臓を実施している状態
(6)重篤な心機能障害、呼吸障害等により常時モニター測定を実施している状態
(7)人工膀胱又は人工肛門の処置を実施している状態
(8)褥瘡に対する治療を実施している状態
(9)気管切開が行われている状態

[指針の整備要件]
医療連携体制加算Ⅰ~Ⅲ:重度化した場合の対応に係る指針を定め、入居の際に、利用者又はその家族等に対して、当該指針の内容を説明し、同意を得ていること。

認知症専門ケア

算定の要件の一つである、認知症ケアに関する専門研修(※1)を修了した者の配置について、認知症ケアに関する専門性の高い看護師(※2)が加算の配置要件の対象に加えられます。

なお、専門研修については、質を確保しつつ、eラーニングの活用等により受講しやすい環境整備を行うこととされました。

認知症専門ケア加算(Ⅰ) 3単位
認知症専門ケア加算(Ⅱ) 4単位

※1 認知症ケアに関する専門研修
認知症専門ケア加算(Ⅰ):認知症介護実践リーダー研修
認知症専門ケア加算(Ⅱ):認知症介護指導者養成研修

※2 認知症ケアに関する専門性の高い看護師
①日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」の研修
②日本看護協会が認定している看護系大学院の「老人看護」及び「精神看護」の専門看護師教育課程
③日本精神科看護協会が認定している「精神科認定看護師」

生活機能向上連携加算

訪問介護等と同様に、ICTの活用により外部のリハ専門職が事業所を訪問せずに利用者の状態を把握・助言する場合の評価区分が新設されます。

(新設)認知症対応型生活機能向上連携加算Ⅰ 100単位/月(3月に1回を限度)
(変更)認知症対応型生活機能向上連携加算Ⅱ 200単位/月

〔算定要件〕
生活機能向上連携加算(Ⅰ)
・訪問・通所リハビリテーションを実施している事業所又はリハビリテーションを実施している医療提供施設(病院にあっては許可病床数が200床未満のもの又は当該病院を中心とした半径4キロメートル以内に診療所が存在しない場合に限る。)の理学療法士等や医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築し、助言を受けた上で、機能訓練指導員等が生活機能の向上を目的とした個別機能訓練計画を作成等すること。

・理学療法士等や医師は、通所リハビリテーション等のサービス提供の場又はICTを活用した動画等により、利用者の状態を把握した上で、助言を行うこと。

生活機能向上連携加算(Ⅱ)
訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションを実施している事業所、またはリハビリテーションを実施している医療提供施設(病床数200床未満)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、医師が、認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)を訪問し、計画作成担当者と身体状況等の評価(生活機能アセスメント)を共同して行うこと。

栄養管理体制加算

管理栄養士が介護職員等への助言・指導を行い栄養改善のための体制づくりを進めることを新たに評価する加算が新設されました。

(新設)認知症対応型栄養管理体制加算 30単位/月

〔算定要件〕
・管理栄養士(外部との連携含む)が、日常的な栄養ケアに係る介護職員への技術的助言や指導を行うこと。

口腔・栄養スクリーニング加算(旧 栄養スクリーニング加算)

介護職員等による口腔スクリーニングの実施が新たに評価されます。

(変更)口腔・栄養スクリーニング加算 20単位/回(6月に1回を限度)

〔算定要件〕
・グループホームの従業者が、利用開始時及び利用中6月ごとに利用者の口腔の健康状態について確認を行い、当該利用者の口腔の健康状態に関する情報を当該利用者を担当する介護支援専門員に提供していること。

・グループホームの従業者が、利用開始時及び利用中6月ごとに利用者の栄養状態について確認を行い、当該利用者の栄養状態に関する情報(当該利用者が低栄養状態の場合にあっては、低栄養状態の改善に必要な情報を含む。)を当該利用者を担当する介護支援専門員に提供していること。

科学的介護推進体制加算

令和3年度から、科学的に効果が裏付けられた自立支援・重度化防止に資する質の高いサービス提供の推進を目的とし、LIFE (ライフ)を用いた厚生労働省へのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCA サイクル・ケアの質の向上を図る取組を推進することとなりました。

※ 令和3年度から、「CHASE(チェイス);高齢者の状態やケアの内容等データ収集システム」と「VISIT(ビジット);リハビリテーションデータ収集システム」を一体的に運用するにあたって、科学的介護の理解と浸透を図る観点から、以下の統一した名称「LIFE (ライフ);科学的介護情報システム(Long-term care Information system For Evidence」を用いる予定。

(新設)認知症対応型科学的介護推進体制加算 40単位/月

〔算定要件〕
・入所者・利用者ごとの心身の状況等の基本的な情報を、厚生労働省に提出していること。

・ サービスの提供に当たって、イに規定する情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること。

サービス提供体制強化加算

サービスの質の向上や職員のキャリアアップを推進する観点から、より介護福祉士割合や勤続年数の長い介護福祉士の割合が高い事業者を評価する新たな区分が設けられます。

(新設)認知症対応サービス提供強化体制加算Ⅰ 22単位/日
・介護福祉士の資格を有する者の割合が70%以上または勤続10年以上の介護福祉士が25%以上

(変更)認知症対応サービス提供強化体制加算Ⅱ 18単位/日
・介護福祉士の資格を有する者の割合が60%以上

(変更)認知症対応サービス提供強化体制加算Ⅲ 6単位/日
・介護福祉士の資格を有する者の割合が50%以上、または、常勤職員が75%以上、または、勤続7年以上の職員が30%以上

(廃止)認知症対応サービス提供体制強化加算Ⅰ2  12単位
(廃止)認知症対応サービス提供体制強化加算Ⅱ   6単位

介護職員処遇改善加算

介護職員の賃金改善に充てることを目的として導入された加算。介護職員の資質向上及び離職防止に向けた取り組みや労働環境の改善を図った事業所において算定できます。

令和3年度の法改正で、介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)について、上位区分の算定が進んでいることを踏まえ、廃止することとなりました。その際、令和3年3月末時点で同加算を算定している介護サービス事業者については、1年の経過措置期間が設けられます。

  認知症対応型処遇改善加算Ⅰ  1月につき +所定単位×111/1000
  認知症対応型処遇改善加算Ⅱ  1月につき +所定単位×81/1000
  認知症対応型処遇改善加算Ⅲ  1月につき +所定単位×45/1000
※ 認知症対応型処遇改善加算Ⅳ  1月につき +(Ⅲ)の90/100
※ 認知症対応型処遇改善加算Ⅴ  1月につき +(Ⅲ)の80/100

※ 介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び介護職員処遇改善加算(Ⅴ)については、令和4年3月31日まで算定可能。

介護職員等特定処遇改善加算

令和元年(2019年)10月の介護報酬改定で新設された加算。令和3年度には、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準の実現を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を行うとの趣旨は維持しつつより活用しやすい仕組みとする観点から、以下の見直しが行われます。

・平均の賃金改善額の配分ルールについて、「その他の職種」は「その他の介護職員」の「2分の1を上回らないこと」とするルールは維持した上で、

・「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2倍以上とすること」とするルールについて、「より高くすること」とする。

認知症対応型特定処遇改善加算Ⅰ 1月につき +所定単位×31/1000
認知症対応型特定処遇改善加算Ⅱ 1月につき +所定単位×23/1000

2021年度以降も継続される加算

以下は2021年度の法改正で変更予定のない加算の一覧です。内容については「【平成30年(2018年)介護保険法改正版】グループホームの加算算定要件にはどんな種類がある?」もご覧ください。

認知症対応型夜間支援体制加算Ⅰ 50単位/日
認知症対応型夜間支援体制加算Ⅱ 25単位/日

認知症対応型若年性認知症利用者受入加算 120単位/日

認知症対応型入院時費用 246単位/日(1月につき6日を限度)

認知症対応型初期加算 30単位/日(入居した日から30日以内)

認知症対応型退去時相談援助加算 400単位/回(1人につき1回を限度)

認知症対応型口腔衛生管理体制加算 30単位/月

2021年3月5日時点で公表されている(案)を元に記事を作成しているため、具体的な内容については、今後の議論で見直しの可能性があることにご留意ください。漏れなく算定できるよう、事前にどんな手続きが必要か、自治体の案内や、今後発出される見込みの解釈通知やQ&Aも確認しながら、準備をすすめていきましょう。

独立を検討するときに忘れちゃいけない介護ソフトについて

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。2021年の介護報酬改定では、加算の新設などグループホームでの取り組みがよりきめ細かに評価されるようになりました。また、新型コロナウイルス感染症への対応措置も加えられ計算が複雑化してしまい、介護請求業務の負担が増えてしまうのでは?とお悩みのご担当者様はいらっしゃいませんか?
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