介護事業お役立ちコラム

介護報酬改定と経費削減

【通所介護】【訪問介護】における2015年度の介護報酬制度改定による売上への影響

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介護保険制度は、3年ごとの改正が規定されており、2000年以降のこれで5回目の介護報酬制度の改定が2015年4月に行われました。今回、実施された新たな制度では売上に対して大きな影響を与えており、改正内容に合わせた 介護サービス、介護事業所の運営方針の見直しは必要とされています。今回は、そんな介護報酬制度の改定が通所介護事業所、訪問介護事業所に対してどのような影響を与えているのか、介護の現場からの率直なご意見を伺ってきましたので、今後の介護サービス、介護事業所の運営方針の見直しにお役立てください。

取材にご協力していただいた介護事業所の基本情報

地域 : 千葉県
提供サービス : 居宅介護支援、訪問介護、通所介護、障がい者総合支援
従業員 : 約30名

【通所介護】報酬改定に伴う単位数の変化

例1:小規模型通所介護費 サービス提供時間5時間以上7時間未満 <算定単位1回につき>

利用者の介護区分 平成26年4月1日~平成27年3月31日 平成27年4月1日~平成28年3月31日 引き下げ率
要介護1 705単位 641単位 ▲9.1%
要介護2 831単位 757単位 ▲8.9%
要介護3 957単位 874単位 ▲8.7%
要介護4 1,082単位 990単位 ▲8.5%
要介護5 1,208単位 1,107単位 ▲8.4%

例2:介護予防通所介護サービス <算定単位 1月につき>

利用者の介護区分 平成26年4月1日~平成27年3月31日 平成27年4月1日~平成28年3月31日  引き下げ率
要支援1 2,115単位 1,647単位 ▲22.1%
要支援2 4,236単位 3,377単位 ▲20.3%

週1回程度の利用、月4回の利用と仮定すると、
1回あたり 要支援1で約529単位、要支援2で約1,059単位
1回あたり 要支援1で約412単位、要支援2で約844単位

【訪問介護】報酬改定に伴う単位数の変化

例3:身体介護が中心である場合

利用者の介護区分 平成26年4月1日~平成27年3月31日 平成27年4月1日~平成28年3月31日 引き下げ率
所要時間20分未満の場合 171単位 165単位 ▲3.6%
所要時間20分以上30分未満の場合 255単位 245単位 ▲4.0%
所要時間30分以上1時間未満の場合 404単位 388単位 ▲4.0%

例4:生活援助が中心である場合

利用者の介護区分 平成26年4月1日~平成27年3月31日 平成27年4月1日~平成28年3月31日 引き下げ率
所要時間20分以上45分未満の場合 191単位 183単位 ▲4.2 %
所要時間45分以上の場合 236単位 225単位 ▲4.7%

※上記に加え、特定事業所加算による加算を実施。
特定事業所加算(Ⅳ):所定単位数の5/100を加算(新設)

通所介護事業所における介護報酬改定の影響

Q1. 今回の介護報酬制度改定について、どの点が最も重要「影響が大きい」項目だと考えていますか?

A.1 基本報酬の引き下げ全般において影響があると考えていますが、特に予防の利用者に関しては軽視できないと思います。平成27年4月から特養(特別養護老人ホーム)は要介護3以上の方だけが入所できるように変わりましたが、売上のことを考えるとデイサービスでも利用者の介護区分によっては受け入れた場合、大きく影響する可能性があります。介護予防については市や
地域包括支援センター の予防事業に担ってもらうことを期待しています。

A.2 事業所が送迎を行わない場合の減算も影響が大きいと考えています。
平成18年(2006年)法改正以降、送迎が基本報酬に包括されるようになりましたが、該当サービス提供がなくとも減算にはならなかったのです。しかし、今回の法改正により、送迎片道ごとに減算が発生するようになりました。
また、送迎時に実施した居宅内介助等(電気の消灯・点灯、着替え、ベッドへの移乗、窓の施錠等)を通所サービスの所要時間に含められることとなりました。

Q2. 介護報酬制度改定に対する対策について、まずはどのようなところから着手していこうと考えていますか?

A.1 基本報酬が下がってしまったため、サービス提供体制強化加算(1回につき6~18単位)をとれるように準備を進めています。既存の職員に介護福祉士資格取得を促すとともに、場合によっては有資格者の新規採用も検討しています。

A.2個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱへの対応を検討しています。個別機能訓練加算(Ⅰ)1回につき46単位、個別機能訓練加算(Ⅱ)56単位となるため、マシンの導入なども積極的に検討していますが、認知症のある利用者には適していないため利用率が低くなってしまうことを懸念しています。

A.3 経費削減を行いたいと考えていますが、難しいのが現状だと思います。
・介護サービスで経費削減することはできない(トイレ誘導やオムツ交換の頻度を下げることはできない)。
・施設の面積は決まっているため、基準以上の利用者を増やすこともできない。
・食事の原価を下げることは出来るが、食事が美味しいことが利用者のためにもなると考えているため、ここは守りたい。

訪問介護事業所における介護報酬改定の影響

Q.1 今回の介護報酬制度改定について、どの点が最も重要「影響が大きい」項目だと考えていますか?

A.1 法改正で介護報酬が引き下げられましたが、平成27年4月から特定事業所加算(Ⅳ)を算定できるようになったため、訪問介護事業所としては結果的に増収となりました。基本報酬が増えたことに伴い、処遇改善加算の給付額も増え、職員への還元も多くなる見込みとなります。

A.2 事業所として増収になるのはよいことだが、利用者の区分支給限度基準額は変わらないので、利用できるサービス回数が減ってしまう(限度オーバー分を全額自費負担で利用する利用者は少ない)ことを懸念しています。また、そうなると介護事業所として増収が見込める上限も自ずと決まってきてしまいます。

Q.2 これから介護業界で事業を成功「もしくは拡大や安定」させるためには、何が必要と考えていらっしゃいますか?

介護報酬制度改定によって通所介護は減算による影響が大きくなっています。今後は訪問介護事業を拡大させていきたいと考えています。

 

取材の内容は以上となります。やはり2015年の介護報酬制度改定の影響は大きいと言えます。中でも通所介護を運営している事業主様は早急にサービスの見直し、運営方針の変更などの対応が必要となるでしょう。また、上記でも触れましたが、介護事業所において経費削減はなかなか実施が難しい課題の一つでもあります。しかし、事務用品のコスト削減や事業所内の高熱費削減、介護請求ソフトなどのランニングコスト削減など出来ることは必ずあります。

ニップクケアサービスでは、介護請求ソフト「楽すけ」を通じてランニングコストの削減など後方支援をさせていただきますので、皆様も介護報酬制度改定への対策を検討してみてください。

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2018年度の介護報酬改定についてはこちらの記事をご覧ください

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