2019年10月1日、介護職員等特定処遇改善加算(新加算)が始まりました。この新加算を含む「新しい経済政策パッケージ」が閣議決定された約2年前は、「勤続年数10年以上の介護福祉士に月額平均8万円相当」というフレーズが一人歩きして、介護スタッフが浮足立っていたことを思い出します。それにしても、この新加算を10月1日から算定するための届け出期限が8月31日という中で、その2日前の29日にQ&A(Vol.3)が公表されるなど行政も現場も混乱した中での船出になりました。

アンケートでは算定率90%を超える結果に

その新加算ですが、2019年10月1日算定開始とした事業所はどれだけの数があるのでしょうか。独立行政法人福祉医療機構(WAM)では、事前にアンケートを行っておりその結果が10月9日に公表されています*。アンケート回答数は1,016サービスで、施設系サービスと居宅系サービスが混在しているデータですが、76.5%の事業所が2019年10月から算定すると回答しています。さらに、2019年11月~2020年4月から算定開始と答えたサービスは合計で16.3%となっており、全体で90%を超えるサービスでこの新加算は算定される見込みです。配分の組み合わせは、a-b-c型が73.4%となっています。新加算の主旨から言うと、a型又はa-b型のほうがより多く選択されそうですが、介護職員以外にも支給できることから、介護職員以外の給与も上げたいと考えた経営者が多かったのだろうと推測できます。

* アンケート結果の詳細はWAMのホームページ上でご参照いただけます。
WAM > 経営サポート事業 > 調査・レポート(R1年度)[外部サイトが開きます]

新加算の算定は避けて通れない

皆様の事業所は新加算を算定されましたか?算定を見送った事業所もあると思いますが、私はこの算定しないという選択を続けた場合は、介護職員の採用ができなくなる致命傷になるのではないかと考えています。お気づきかと思いますが、大手介護事業所はこの新加算スタートのタイミングで賃上げ宣言をしました。「介護職と看護職の給与水準の同等を目指す」や、「経験年数10年以上の介護福祉士は月額82,000円以上増額する」と具体的に表明しています。中小零細事業所が大手介護事業所を真似ることは難しいですが、少なくとも算定できる加算を算定しなければ、大手との給与の差はさらに開き、募集要項で大きく見劣りしてしまいます。
求職者の目は私たちが考えるよりシビアです。新加算を算定している事業所と算定していない事業所がある場合、よほどの事情がなければ給与の高い新加算を算定している事業所へ応募するのは自然な流れです。新加算を算定していなければ、給与のことはもちろんスタッフのことを大事にしていない事業所だと考えられても仕方がありません。

応募がないと嘆くばかりでは改善しません

介護スタッフの応募が全然ない、スタッフが定着しないと嘆く経営者は依然としていらっしゃると思いますが、まず自事業所が応募してもらえるような、そして長く働き続けたくなるような事業所になるべく経営者自身が努力しているかもう一度考えてみてください。

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藤尾智之氏
税理士・介護福祉経営士

1996年、法政大学経済学部卒業
2000年、社会福祉法人に入職後、特別養護老人ホームの事務長として従事する。
2011年に税理士試験に合格し、大手税理士法人を経て藤尾真理子税理士事務所に入所。介護、障害を中心とした社会福祉事業に特化した経営サポートを展開する一方、社会福祉法人の理事や監事、相談役を務める。
著書に「税理士のための介護事業所の会計・税務・経営サポート」(第一法規)がある。
さすがや税理士法人URL: https://fujio-atf.jp/