どのような世界にもマニア、好事家の類はいるものです。 世にも珍しい介護保険請求のマニアの部屋へようこそ。 このマニアの部屋でご紹介するのは、介護保険の料金計算のルール。 本当は、こんなこと知らなくてもいいんです。だって、全部請求ソフトが全部計算してくれますから。 でも、知っておくとちょっと、ほんのすこーし、便利かもしれません。

請求のおねえさん

ナビゲーターは、介護保険請求マニアである「請求のおねえさん」。細かな国保連請求ルールと格闘するうちに世にも珍しいマニアになりました。
好きなアイス:ピノ

    羊さん

    今日のお相手は、介護事業所で働く「羊さん」。最近国保連請求を担当することになりました。
    好きなアイス:あずきバー

      訪問介護のご利用者様から、料金の計算について質問を受けた羊さん。前回は、料金計算の基本と、端数が出た場合の考え方を見てきました。

      前回は、サービスごと決められた単位数に地域単価を掛け算して料金が求められることがわかりましたね。

      地域ごと、1単位あたり10.21円や11.40円など地域単価が決まっているから、どうしても端数が出てしまうんですよね。

      そうです。計算の結果、金額が算出されて、端数があった場合は、「切り捨て」にするのがルールです。

      端数があったら、「切り捨て」って覚えちゃえば楽じゃないですか?

      そうだったらとても楽なのですが、実は「切り捨て」にしていいのは、計算結果が「金額」の時だけです。計算の途中で「金額でない」端数が出たら、「切り捨て」にしてはいけません。

      ??? 羊ハ、算数ニガテデス…途中式とかアンマリ好きジャアリマセン…

      まあまあ、頑張って分かりやすく説明しますから、今日のお話も見ていってくださいね。


      介護保険の加算・減算

      加算や減算の計算結果にも端数が出てくる

      介護サービスは、サービスの種類や、介護度、時間などによって、「単位数」が決まっています。これはものすごくたくさんの種類があって(なんと24,970件!※1)、細かく決まっているのですが、平たく言うと、食堂のメニューのようなものです。

      訪問介護(ヘルパー)の事業所から「身体介護」というサービスを40分受けたら、「身体介護2」というメニューになり、1回頼んだら395単位という具合に決まっています。(令和2年10月現在)

      加えて、「身体介護を40分」という具体的なメニューの対価の他に、「加算」というプラス料金や、「減算」という値引きが入ることがあります。「加算」や「減算」はそれぞれ算定する条件が決まっています。条件については、詳しく解説しているWEBサイトがいくつもあるので他に譲りまして、私たちはあくまで計算にこだわって見ていきたいと思います。

      「介護職員処遇改善加算」という非常に多くの介護事業所で取っている加算があります。令和2年1月審査分では、全国の介護事業所のうち92.6%が「処遇改善加算」という加算を算定しました。(※2)

      例えば、訪問介護処遇改善加算Ⅰは、「所定単位数×13.7%」というパーセント計算の加算です。

      パーセント!端数の予感ですね。

      身体介護40分のサービス「身体介護2」を月に5回、そして訪問介護処遇改善加算Ⅰを算定というお題で考えてみましょう。

      端数がでてきました。こちらは切り捨て?切り上げ?それとも四捨五入でしょうか?

      ムムム。「金額の時は端数は切り捨て」でしたが、今回は「単位数」の計算ででた端数だから・・・???

      答えは「四捨五入」です。

      単位数計算の端数処理

      計算の答えが「単位数」の時の端数は「四捨五入」

      計算の結果、答えとして「単位数」が算出されたときの端数は「四捨五入」になります。今回の計算例では、270.575だったので、繰り上がって271単位が「処遇改善加算Ⅰ」の単位数です。

      前編では、計算の答えが「金額」の時は「切り捨て」というルールを見てきました。単位数を求めて、金額を算出するまでの間、「四捨五入」する時と、「切り捨て」になる時が混在するということになります。

      なんともヤヤコシイですねぇ

      では先ほどの計算例を、金額が算出できるまで見てみましょう。

      今は四捨五入?切り捨て?と迷ってしまったときは、数字に「単位」「円」などと書き足しながら計算してみましょう。

      「単位」とつける時は四捨五入、「円」がついたら切り捨てです。 利用者様へご料金の説明をするときなど、ぜひお役立てください。

      ここまでの参考資料

      ※いずれもこの記事を書いた令和2年10月時点の情報です。法改正で変更になりますので、必ず最新の情報で確認してください。今後の法改正は令和3年4月予定です。ご注意を!

      ※1 介護のサービスコード件数

      ⇒介護サービスのメニューは、「サービスコード」と言い、R1.10月の法改正時に24,970件になりました。こんなことを気にしているのは介護のソフトウェア会社くらいのものでしょう。こちらがその資料です。
      https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2019/0801195607313/B_20190701.pdf

      ※2 処遇改善加算を算定している事業所数

      ⇒令和2年6月25日に行われた「第178回社会保障審議会介護給付費分科会」の資料
      【資料2】介護人材の確保・介護現場の革新 の58ページを参考にしました。
      同資料には令和元年10月から追加された「特定処遇改善加算」を算定した事業所数・割合なども出ています。
      https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000644080.pdf

      単位数算出の際、端数を四捨五入するという根拠は?

      ⇒「介護給付費請求書等の記載要領について(平成 13 年 11 月 16 日老老発第 31 号厚生労働省老健局老人保健課長通知)」で示されています。令和元年8月に発出された下記の新旧対照表では1ページ目に記載されています。
      https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2019/0819204731970/201908_D.pdf