介護事業お役立ちコラム

介護報酬改定と経費削減

2015年度の介護報酬改定に伴い考えておきたい対策方針

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2015年度の介護報酬改定では、ほとんどの在宅、施設サービスで平均4.48%ものマイナス改定となり、各事業所では大幅な減収の危機に直面しています。この減収分を補うためには、地域包括ケアシステムの理念に基づいた、質の高いサービスを提供するよう体制を整え、各種加算報酬を基本報酬に上乗せするといった対策が求められます。また、慢性的な人員不足を抱える事業所では、人手が少ない中でもサービスの質を維持するため、事業経費の削減に取り組んでいるケースが増えている傾向です。 今回は、2015年度の介護報酬改定に合わせて、考えておくべき対策方針についてご説明します。

介護事業所における経費削減への取り組み意識

産労総合研究所が発表している「介護施設における経費削減に関する実態調査」のデータによると、全国で経費削減を行っている介護事業所は、全体の9割にも及んでいることが明らかになりました。主な経費削減対象には、人事管理に関するもの(人件費)、人件費以外の固定費、日常業務活動(事務経費)に関するものが挙げられます。

人事管理に関する(人件費)経費削減

2015年度の報酬改定による平均減収額は、介護職員1人分の人件費に匹敵するので、減収と人手不足に悩む事業所では特に、アルバイトやパート職員の活用が重要となるでしょう。実際に、介護事業所における人事管理に関する経費削減項目のうち、「アルバイト、パート、契約社員の採用」を挙げた事業所は、全体の3割を越えています。

ほかに、経費削減のために実際に行われた取り組みとして、賞与に評価基準を導入、ノー残業デイの導入または定時退社制度による残業代の削減などが挙げられています。

経費削減の方法として、従業員の給料を引き下げるという方法もありますが、職員の就労意欲やサービスの質低下に繋がる恐れがあります。職員一人ひとりの能力に見合った人員配置や、労務コストの見直しなどを同時に行うことが大切です。

人事管理以外の固定費削減

人件費以外の固定費には、水道光熱費、空調設備のメンテナンス費用などが挙げられます。「職員のエレベーター使用禁止」、「蛍光灯をLEDに交換」、「節水器具の取り付け」のほか、施設利用者に対し「エアコン温度の制限」、「居室用テレビの有料化」、「電気ポットの使用禁止」を徹底しているケースも多く見られます。また、送迎車を大型車から維持費の安い軽自動車や、乗り降りのしやすい普通車に乗り換え、燃料代や維持費を削減するなど、さまざまな取り組みが行われています。

なお、人件費や水道、光熱費の削減については、こちらでも詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。

【介護事業所における人件費の削減方法】
【介護事業所における水道、光熱費などの経費削減方法】

日常業務活動(事務経費)に関するもの

日常業務活動に関する経費削減方法には、コピー用紙の裏面活用、事務消耗品のまとめ買い、在庫管理の徹底などがあるでしょう。また、介護施設でよく用いられる手芸用品やレクリエーション材料なども、経費削減の対象となっています。100円ショップや玩具店で必要な物品を安価に買い揃えたり、牛乳パックや新聞紙などのリサイクル品を活用したりするなど、限られた予算でもサービスの質を低下させないための工夫が行われています。

人事管理、水道光熱費、事務経費以外にも、宣伝広告費や通信費用など、さまざまな面で経費削減を徹底し、介護報酬のマイナス改定における減収分を補い、早期に黒字へ転換できるよう対処していきましょう。業務マニュアルを整備し、具体的な数値目標を職員で共有することで、経費削減への意識を持続させる方法も効果的です。

2018年度の介護報酬改定についてはこちらの記事をご覧ください

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